ランド・ノリス(マクラーレン)のF1参戦110戦目での初優勝は、誰もが待ち望み、祝福した勝利だった。パルクフェルメでは、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、かつてチームメイトだったカルロス・サインツ(フェラーリ)、ダニエル・リカルド(RB)らが次々に駆け寄り24歳の青年の健闘を讃える、まさに愛されキャラの面目躍如だった。
これまでいつ勝ってもおかしくないと言われながら、勝てそうで勝てない状況が続き、未勝利のまま参戦6年目を迎えていたノリス。ここ数年のF1がレッドブルとマックス・フェルスタッペンの1強状態のなか、15回の表彰台を重ねながらも、あと一歩が届かない。そんな時間が続いた。
マクラーレンのランド・ノリスが参戦110戦目にしてF1初優勝。角田裕毅7位【決勝レポート/第6戦マイアミGP】
その間、2021年にはリカルド、去年はスプリントとはいえ、新人オスカー・ピアストリにマクラーレンでの勝利を先に達成されてしまった。そのたびに尋常ではない悔しさを感じていたはずだが、彼は「いつか勝てるよ」と、笑顔を絶やさなかった。
今回のマイアミGPも、決して順調な週末ではなかった。スプリントではランス・ストロール(アストンマーティン)と接触し、早々にリタイア。予選もレッドブル、フェラーリに先行され、5番グリッド。「これが今の僕たちの実力だよ」と、ノリスも言うほどにトップ2チームとの戦闘力の差は歴然だった、と思われた。
ただ、マクラーレンはマイアミGPにフロントウイング、サスペンション、サイドポッド・インレット、エンジンカバー、フロア、ビームウイングなど、大幅アップデートを多数投入しており、ノリスもフリー走行1回目(FP1)でのハードタイヤでのロングランに手応えを感じていた。
しかし決勝レースは、スタートでピアストリに先行を許し6番手に後退。それでもミディアムタイヤのペースは悪くなく、5番手セルジオ・ペレス(レッドブル)の1秒以内につけ続けた。
中盤の28周目、ケビン・マグヌッセン(ハース)とローガン・サージェント(ウイリアムズ)の接触が起きた時点では、ミディアムタイヤを引っ張り続けて3番手まで上がっていた。そしてセーフティカー(SC)導入という抜群タイミングでピットイン。これで独走状態だったフェルスタッペンをかわし、トップにおどり出た。
すぐにフェルスタッペンが首位を奪い返すかと思われたが、ハードタイヤに履き替えてからのフェルスタッペンはペースが伸びない。逆にノリスはファステストラップを更新し、フェルスタッペンを引き離していく。最後は7秒以上という予想外の大差を王者につけ、見事にF1初優勝を飾った。
どんぴしゃのタイミングでのSC導入という幸運が、ノリス初優勝の大きな要因だった。しかし一方で先述のマシンアップデート投入が、マクラーレンの戦闘力の大幅な向上に繋がったことも確かな事実だ。
すでにフェラーリがレッドブルとの差を詰めつつある2024年シーズンだが、ヨーロッパラウンドを迎える次戦からはマクラーレンも加わった三つ巴の優勝争いが、これから何度も見られるのではないだろうか。
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みんなのコメント
ノリスは逆に ロングペースに集中し、見事にハマッた
SCはおまけ、2台をパスする手間が 省けただけ